ホタルが少なくなっているのは寂しいものですが、各地でホタルを呼び戻そうという運動が広げられています。
ホタルはどんな生育環境がよいのでしょうか。
水質はどれくらいきれいであればよいのでしょうか?
調べてみました。
水質だけでなく蛹になる土壌も必要
ホタルの生涯を見てみましょう。
ホタルが産卵するのには水辺の苔が必要です。
卵から幼虫がかえると水の中で生活しますが、水が必要なのは幼虫のころです。
蛹になると水から上がって、土の中にもぐります。
水の中では蛹になれません。
ホタルが育つためには、川に水が流れているだけではダメなのですね。
コンクリート水路の問題点
以前ホタルのいた水田では、水を引くために水路の改善を行っています。
管理が容易なためと、丈夫にすることからコンクリートで水路を作っています。
このコンクリート水路は、ホタルが育つためには厄介なのです。
水はきれいに流れますが、水の流れが速すぎるので幼虫が流されてしまいます。
また、側面が土壌ではないので草が茂らず成虫になったホタルが隠れる場所がありません。
コンクリートには断熱性がないため、夏場の水温が上がり過ぎることがあります。
こんな問題を解決しようと、コンクリートを使いながらホタルが生息できるような水路を作っている企業もあります。
ホタルが戻ってくるように
各地でホタルが戻ってくるように、増えてくるようにといった取り組みが行われています。
ホタルは環境のバロメータです。
ホタルの飛ぶ水辺はホタルだけでなく、さまざまな生物によい棲家となります。
各地の取り組みを見てみますと、ただ単純に川をきれいにするだけでなく、ホタルの生育にあった草刈りや、川底の清掃が取り入れられています。
蛹になって土の中にいる間に川底を清掃したり、草刈りも成虫が隠れることのできるように、夏場を過ぎてから行ったりしています。
水質もきれいであればいいというものでもなく、エサとなるカワニナが食べる藻が育つくらいの汚れも必要です。
藻はあまりにきれいな川には育ちません。
川にはいくらかの落ち葉や砂、小石などが必要です。
ホタルは人工の強い光が苦手です。
ホタルの生育地には光がない、あるいは少ないことが大切です。
ゲンジボタル、ヘイケボタルの生育の違い
ホタルといえばゲンジボタルと言えますが、ヘイケボタルもひと月遅れぐらいに見ごろを迎えます。
特徴はゲンジボタルのように群舞はなく数は少ないですが、ゲンジボタルと並んで日本のホタルの代表とも言えます。
ゲンジボタルは清流に棲みますがヘイケボタルはよどんだ水の中でも育ちます。
餌もカワニナだけでなくタニシなどの他の貝も食します。
ゲンジボタルに比べると、長い見ごろの期間があります。
ゲンジボタルと同じ場所で生育することもあります。
生育の難しいゲンジボタルを目標として、ホタルの環境保全が行われていますが、ゲンジボタルと一緒にヘイケボタルも戻ってきてほしいものです。
まとめ
『水清ければ魚棲まず』と言う言葉通り、あまりにきれいな所では、ホタルも生息しにくいようです。
その頃合いを求めて、各地の環境保全の取り組みがあります。
昔は当たり前のようにいたホタル。
また当たり前のように、水辺に行けば見られるようになって欲しいですね。